物語 Story
20XX年。日本。
深刻な不況を打破するために、日本の一大カジノ・リゾートとして開発された特別行政区「新神海」。
かつて東京臨海副都心13号地に属していたその地は事実上、カジノの民間運営業者である「鷹郷組」が統治する国のような存在となっており、不況の中においても一定の繁栄を保っていた。
明日のこともわからぬ不安定な状況が続く中、人々は一攫千金を夢見て、あるいは鬱屈した気持ちを晴らしに新神海へ集まった。
有象無象をも受け入れる街の治安は乱れ、そこかしこに退廃の影が漂い、犯罪が多発していた。
そんな街に住む主人公トワは、知り合いの医師タクの病院に居候しつつ、明日のことなど考えない、自堕落で刹那的な日々を送っていた。
トワにはある趣味があった。
それは「人の欲望を描くこと」。
人の心の奥底に押し込められた爆発寸前の欲望をモチーフにして油彩画を制作する。
欲望を自分にぶつけさせて、その体験を筆に乗せるのだ。
作家としての名は「euphoria」。
欲望を叶えた結果、自分と相手がたとえ瀕死の重傷を負ったとしても構わない。
それが、相手にとっての「幸せ」なのだから……。